昔見た映画を見返すと見え方が変わる現象【映画鑑賞力】
最近Twitterで映画鑑賞力というワードが話題になっていますがこの言葉を目にして僕が思ったことがあるので忘れないうちに文章に残しておこうと思い今、人生初のブログを書いています。ネタバレ注意です。※調べたところTwitter上で色々な方が発言されているものと自分が思う映画鑑賞力は違うようです。
昔見た映画を改めて見返してみると違った見え方がしたり新たな発見があったりするというのはよく耳にすることがあります。子どものころにみたジブリ映画を大人になってから見返すと子どものころには気付かなかった深いメッセージ性などに気付くという話をよく聞きますしあるあるだと思います。
これは最初に見た時よりも本人の映画鑑賞力が上がっているからなのではないかと思います。(映画鑑賞力というか読解力という方が近いかもしれない)僕の場合は「チャーリーとチョコレート工場」という作品を最近見返したのですが最初に見た時よりもたくさんの気付きがあり楽しく観ることができました。この映画は2005年に公開されその当時も話題の映画だったようです。
あらすじは、世界中の子供たちから愛されるウォンカのチョコレート。しかしその工場内は完全非公開であり謎に満ちていた。ある日工場長のウォンカは「生産するチョコレートの中に金のチケットを5枚だけ同封しそのチケットを引き当てた子供を工場へ招待、さらにその中の一人には特別な副賞を与える。」と宣言した。運良く最後の一枚のチケットを引き当てた主人公のチャーリー。彼は工場の元従業員である祖父と一緒に工場へと向かう。工場内では身勝手な行動をとる子供たちが様々なハプニングを引き起こし次々と脱落していく。ウォンカは最後に残ったチャーリーに副賞である「ウォンカの工場を引継ぐ権利」を与えます。しかし工場を引継ぐ条件として家族を捨てなければならずチャーリーはこれを辞退します。実はウォンカの実家は歯医者で子供時代父親にチョコレートを口にすることを禁じられておりウォンカはそんな父親を恐れており家族というものが嫌いだったのだ。ある日偶然再会したウォンカとチャーリー。ウォンカから事情を聞いたチャーリーは彼の背中を押し一緒にウォンカの父親に会いに行くことに。数十年ぶりに父と再会したウォンカは家族の大切さが分かりチャーリーとその家族を受け入れる。こうしてチャーリーは工場を引継ぐことになった。というものです。
僕がこの映画を最初に観たときは小学生でした。ティムバートン監督独特の世界観で不思議な映画なのですが当時の僕には不思議な工場や途中の歌などがとてもおもしろく見え小学生でも楽しめました。ですが当時の自分には全て理解できていなかったんだと久しぶりこの映画を観て思いました。
この作品には4人の強欲な子供たちとその対局に描かれた主人公チャーリーを通して子供たちに道徳とか正しく生きることの大切さとかを教えてくれる教育的な部分と工場長ウォンカの心の成長を通して家族愛を描いている作品でもあります。
作中でチャーリーの家庭は他の脱落した子の家庭よりも極端に貧乏に描かれています。脱落した子供たちの家は一般的な家(一人だけ超お金持ち)ですがチャーリーの家は絵に描いたようなボロボロの家でここだけ時代が違うんじゃないかというくらい差があります。しかし一番家族の仲が良いのもチャーリーの家庭です。チャーリー一家に比べて他の子供たちは両親と仲良しかというとそういう風には見えません。そしてその子供たちはわがままで、ウォンカの制裁によって脱落していってしまいます。一番最後まで残り、ウォンカが工場を引継がせるべきだと思った子が皮肉にもウォンカが一番嫌いな ”家族”と仲のいいチャーリーだったのです。ウィリーウォンカの父親は歯科医師で彼は子どものころにチョコレートやキャンディーなどを食べさせてもらえませんでした。ある日ウィリーは家出を決意。しばらくして帰ってくると家はなくなっていました。家族愛を知らないまま大人になったウィリーウォンカですがそのままチョコレート工場の経営者として成功を収めます。きっとウィリーは家族なんていなくてもこうやって成功できるしむしろ色々と文句を言ってくるから邪魔なものだと思っていたのでしょう。家族を捨ててでもチャーリーがウィリーの後継者となってくれると信じていましたがチャーリーは「家族を失うくらいなら工場はいらない」と言い副賞を辞退するのです。ウィリーはそんなことを言われると思っていなかったのでショックをうけてしまいます。
ですがその後チャーリーに背中を押されウィリーは父親と和解。実はウィリーの父は彼の功績が新聞に載るたびにその切り抜きを保存しておくなど会えなくなってからも彼のことを見守っていたのでした。こうしてウィリーは自らのトラウマを克服し家族の大切さを知ります。途中までは身勝手な子供たちに制裁を下すウォンカが一番上の存在に見えますが物語の最後でそのウォンカ自身の成長が描かれているのです。久しぶりにこの映画を観て意外といい話だったんだなと思いました。
このように昔見た映画を見返すと新しい気付きがあってより楽しめるようになるということが最近になってやっと分かりました。笑
そしてこれもある意味映画鑑賞力なのではないかと思います。
きっと自分自身の成長や経験やいろいろな作品を観たり聴いたりすることで物語を読み解く力が昔よりつくのだと思います。そう考えると前に観た映画や今見た映画を将来の自分が観たらどのように感じるのか楽しみだし映画だけでなく音楽や小説やいろいろな芸術でも同じことが言えると思います。今よりももっと作品を楽しむ力がついてより楽しめるようになると思えば年を取ることもそこまで悪いことではないかもしれないと思いました。